前回は、「
明確な志望をもって高校受験を突破した生徒と、自分の現状に合わせて不本意な選択をした生徒とでは、その後の気持ちの持ちようも違うようだ」ということをデータから拾い上げてみました。今回はこちら、『大学生の学習・生活実態調査』の報告から、いくつかのデータを抜粋してみます。
http://benesse.jp/berd/center/open/report/daigaku_jittai/2012/hon/index.html
(こちらはPDFで配布されているので、参照していただくデータへのリンクの貼り方が難しいんですが)
まず、前提として「どんな回答者を対象にした調査か」ですが、対象は「大学生5000人」となっています。
次のファイルのページ番号151ページ
(←PDFファイルのではなく、フッター部分に記載されている報告の通し番号です)
http://benesse.jp/berd/center/open/report/daigaku_jittai/2012/hon/pdf/data_20.pdf
[13]という質問項目が『どのような高校を卒業したか』という内容になっています。
85%以上の回答者が「中堅大学以上の進学が多い」となっており「就職/専門学校進学が多い」という学校からの回答者はほとんどいません。
高校で行う進研模試の偏差値で言うなら平均偏差値が45以上、高校入試の道コン偏差値で言うならSS50
(塾の周辺で言えば石狩南辺り)以上の学校と考えていいでしょう。
前回の高校受験でのデータと比べ、高校自体が中堅以上のいわゆる進学校に絞られていますから、進学意識は強く、学力も高校受験で言えば中位より上だった層が今回の回答者です。
さて、次のファイルの31ページ
を見ますと、『大学を選ぶ際に重視したこと』という項目があります。
http://benesse.jp/berd/center/open/report/daigaku_jittai/2012/hon/pdf/data_08.pdf
"進学意識のそこそこあるはずの高校生"であったはずの回答者ですが、回答を見ると「
入試難易度が合っていること」が半数、「
入試方式が合っていること」が3割と、入試のシステムに関わる部分での選択がものすごく目立ちます。
もちろん、高校入試と大学入試とで比べた場合、大学入試は志望する学校によってその難しさや倍率が段違いに違いますから、受験戦略的にはこの選択は妥当です。
しかし、この選択肢が高いということは、
"学校や学問分野で選ぶ志望校"と"高3時点の学力から判断した現実的な受験校"が一致しない可能性を強く示唆しています。
では、この「
入学した大学が行きたかった大学とは違うんだけど」という学生たちは、どっかの時点で大学生活に満足できるんでしょうか。
72ページの図2-4-3に『大学適応度(大学志望順位別)』という項目があります。
http://benesse.jp/berd/center/open/report/daigaku_jittai/2012/hon/pdf/data_13.pdf
案の定、第3志望以下だった大学に入学した学生は「
他の大学へ入り直したい」とか「
大学を辞めて他の進路に向かいたい」という回答が多くなっています。
同じく大学に対する適応度を"入試偏差値"という別な尺度~つまりは「どれくらい入りやすいか」という観点で整理したものが1つ前の図2-4-2です。
偏差値の低い"入りやすい大学"ほど「
他の大学へ入り直したい」という割合が目立ちますね。
もちろん、「そう思ったことがある」というのと「実際に辞めてしまった」の間にはかなりの開きがあるとは思います。
でも、この「入り直したい」とか「大学を辞めたい」という考えって、前回の「高校生活を楽しめない高1生」と姿がかぶります。
その『方向転換したい理由』というのが、73ページの表2-4-1です。
つまるところ、
やりたいことよりも入りやすさを優先し目標を下げたりしたことで"誰にとっても入りやすい学校"を選ぶことになった→その結果、「学校の質が悪い」と嘆いている という感じでしょうか。
ではさらに"その前"を掘り返してみましょう。
「じゃぁそもそも、なんでその"辞めたくなるような大学"しか選択肢がなかったの?」と。
http://benesse.jp/berd/center/open/report/daigaku_jittai/2012/hon/pdf/data_08.pdf
このファイルの29ページ図1-1-1を見ると、『どの時期から入試対策を行ったか』が見えます。
「
大学受験の準備をしだしたのは、高校3年になる前から」というのが約3割、残りの7割が「
3年生から」になっています。
図1-1-3を細かく見ると、高2の秋に小さな山があるのに気付くかと思います。
ここはおそらく「修学旅行後」ということですね。
つまり、
その頃には既に志望校がおぼろげながら確定しており、受験の準備を本格的に始めた生徒がいるということです。
ここは次のファイルの88ページがわかりやすいでしょう。
http://benesse.jp/berd/center/open/report/kou_databook/2013/pdf/P82-105.pdf
『志望校を選びはじめた時期』 『決定した時期』 『最終的に現在の進学先(大学)を選んだ時期』のグラフが併記されていますが、「
3年生に入ってから選び始める」というのは明らかに出遅れている感があります。
もう一個面白いのが、同ファイル97ページの図5-2-6。
受験対策を最後まで諦めずに頑張りきれた子の方が、実は早い段階から準備をし始めています。
決して「短期決戦だから集中できた」 というわけではないのです。
「
進路意識をしっかり持っている子は、最期までやり切るだけのモチベーションを持っていた」とも読めますし、逆に「
遅く始めた子は、どこかの時点で間に合わないと分かって結局方針転換をしたり妥協をしたりした」とも読み取れます。
どうです?
こういうデータを見てからも、「高校受験は高校受験でとりあえず入ればヨシ、その先はまた改めて考えればいいや」と言えるでしょうか?
自分の将来に関してってのは、案外と早い段階から真剣に向き合う必要があるような気がします。
次回も、もうちょっと進路意識の形成とその後の進路について考えてみます。
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高2生・高3生を抱えているため、日常会話の中で少しずつですが、進路志望を聞き、それに沿った情報収集をしています。
志望校や目指したい方向性をリストアップしてもらって、受験科目の確認をし、今後の学習計画をある程度考えてというところまでしか出来ませんが。
学校の方では、抱えている生徒が多くて場合によってはそこまで見ては貰えないでしょうからね。。。
学習相談、進路相談、無料で承ってます。
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