2013年6月24日月曜日

高校選びの予備知識 ~教育課程表を読む

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photoby marfis75

いつの間にやら『札幌市立高校 合同説明会』の告知が出ていまして、先日慌ててTwitterで流しました。
 →告知はコチラ 
私立高の場合は、学校祭やら私学展やら学校公開やらと、年に何度かの説明会を催すので11月頃までは話を聞く機会があるんですが、公立高校の学校説明会はたいてい夏休み辺りに一回こっきりなんです。
なので、この時期を逃すと、その学校についての情報が手に入らないままになってしまったりするんですよね。

ちょっとでも受験先の候補として上る可能性があるのであれば、たとえ今は候補になくても、覗いておいてもいいかと思います。

高校は"選ぶ"もの

さて、高校受験の志願先を選ぶにはいろいろな理由はあると思いますが、どんな学校かも知らないで名前だけで受験するというのは、正直オススメしません。
と言うと「知ってるよ! あの学校って、制服が可愛くて、○○部が強くて、進学実績もこんな感じで・・・」とか返ってくるわけですが、私の言う「どんな学校」というのは"カリキュラム"という観点でです。
まず、中学と高校の大きな違いから整理してみます。

公立の小学校や中学校は住んでいる地域毎に通う先が決められています。
「地域ごとに区切りがあり、地域に住んでいる人は基本的に決められた小・中学校へ通う」というのが一般的です。
しかし、公立高校は、たとえばうちの塾生の場合は石狩管内全域のどこでも受験できますし、私立高校を含めて考えれば、場合によっては全道・全国のあちこちの学校を受験することが出来ます。
つまり、進学先は自分で決めることができるわけです。
小学校から中学校へは"選ぶ"なんて作業はないわけですから、『どこの学校を受験するか、どこに行きたいかを自分で"選ぶ"ことができる』というのは、中学と高校との最も大きな違いの1つです。

カリキュラムって学校によって違うんですよ

でも、逆の言い方をすれば、たくさんの選択肢から"自分で行き先を選ばないといけない"とも言えます。
では、何を基準に選ぶのでしょう?

選び基準のひとつ1つは"カリキュラム" ~受けられる授業の科目・その内容・使っている教科書・到達点・かける時間・そして行事などなどを含んだ教育課程~ です。
と言っても、大半の中学生は首を傾げます。「学校で勉強することなんて、どこでも同じなんじゃないの?」と。
学校の差を、入試のランクでしか見ていないんでしょうね。
でも、大きく違うのは、入試ではなく、「入ってから何をどのレベルで学ぶか」なんですよね。

中学校の場合、教科書の種類はいくつかありますが、教科書の内容は全国各地どこもほとんど同じレベル・同じ内容で、授業の到達点も全国で共通になるようにと国の指定によって定められています。
ところが、高校ではカリキュラムは学校ごとで決められることになります。

進学志向が強く勉強に力をおいた学校と、のびのびといろいろな方面への才能を伸ばすことを考えている学校では、カリキュラムの作り方が全く違い、この違いがそれぞれの学校の大きな特色になります。

下の表は2013年度の高校1年生のカリキュラムを、札幌北・国際情報普通科・手稲・石狩南で比較したものです。
国際情報の『数学II』の記述はAの間違いじゃないかっていう気もするんですがね。。。
まぁ、公式にそう書いてあるんで、その通り写しましたが。
 〈参考にしたカリキュラム表〉   札幌北  国際情報  手稲  石狩南

カリキュラム表から読めること

理科や社会科の選択なんかは微妙に違うものでしょう?
もちろんこの違いは1学年だけのものですから、2学年・3学年の選択まで通してみない限り全体像はわかりません。
もちろん「どれが良い」とか「どこが不利」とかいうわけではないんですが、ただ、はっきり言えることは「このカリキュラムの違いが、間違い無く学校の指導方針の特色の一つになる」ということです。

例えば、同じ『数学I』にしても週3コマと週4コマの学校があります。
数学IAを合せて週に6コマということになりますが、コマ数が1つ多いということは、1年間の授業数を35週と数えれば年間35コマ多いことになります。
多いコマ数は、「じっくり演習をしながら時間をかけて進む」というようにも使えるはずなんですが、そんな丁寧な指導をしているところは聞く限りでは無いですね。。。
聞くのは「生徒の理解がどうであろうと、とりあえずガンガン先に進む」という話ばかりです。
それだけ先へ進むスピードが早いわけですから、生徒はそのスピードに付いて行かなければならないということですね。
「12月にはIAの教科書を終えて、数学IIに入る気だろうな」というのが、ある程度内情を知っている人の読み取り方。
私からしたら「そんな超スピードで進んで、さてどれくらいの割合がついていけてるの?」という感じになります。
だから、そんな荒業ができるのは、おそらく生粋の進学校か、もしくは進学校として評価されたい学校でしょう。

それから、社会科ではAとBの科目がありますが、大学入試で多く使われるのはBの方です。
AはBに対して単位数が少なく内容が薄いため、一般教養的に学ぶにはいいのですが、2次試験の受験科目としては選択できない場合も多く、使いドコロが制限されてしまいます。
そうなると、1学年からBで深く追求していくのがいいのか、Aで足場固めをしておいて、2年目以降で受験科目を選びなおすのがいいのかということになってきます。
「幅広く学ぶ」とも言えるし、見方によっては「アレコレ中途半端にやっても、どうせ受験科目としては使えないのに」とも言える。
ここら辺りは完全に学校の考え方次第、なんですね。

こんな感じで、「高校でどの科目を、どれだけ深く、どう学んだか」によってその後の進路の選択に影響が出てきます。
なので、それを考えるきっかけとなるカリキュラム表は、ただの数字の羅列に見えても、その学校の教育に対する考え方を表しているものと言えます。


というわけで、カリキュラムを中心とした教育方針は学校によって結構差があるものなので、そこには合う/合わないが確実に存在します。
多くの人は「ちょっとでもレベルの高い学校へ」と言いますが、何でもかんでも「偏差値の高い学校が私にとって良い学校」とは限らないんですよね。
学校の検討をする際には、ぜひ、カリキュラム表をきちんと並べて比較してみるということもして頂きたいなと。
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