2013年6月11日火曜日

"学力" の前に "学習力" を鍛えよう


かなり以前に『"公式"に振り回されすぎです』や『こんなに頑張っているのにという人へ』のシリーズにも書きましたし、前回の『学習時間と成果が比例しない』にも書いたことですが、「やってはいるのに伸びない」という生徒の多くはとかく "勉強の仕方" が下手な気がします。

それは"学習力"とでも言えるもので、計算うんぬんや暗記どうのとかいうレベルの更にその前の段階の「学び取る力」という感じのもの。
これをちょっと考えてみようかと。

問題を把握する力

例えばこんな例はどうでしょうか。
図書委員会からの連絡です。
夏休み中、学校の図書館は、平日は朝10時から夕方16時まで、日曜・祭日は12時から15時まで開放しています。
借りられる本は1・2年生は5冊まで、3年生は10冊までです。
借りるときには必ず図書委員または司書の先生に手続きをしてもらい、無断では持ち出さないでください。
返却は8月21日までにお願いします。
また、図書館の中ではおしゃべりをせず、静かに利用してください。
パッと見で、まぁ中高なんかでありそうな告知文ですね。
ただ、「こんなズラズラ書かれていてもよくわかんない」「読みづらい」と思いますよね?
大半の人はそう思いましたよね?
この「このままだったらよくわからない」と思える事自体がまずはとても大切だと思うんです。

つまり、勉強の下手な子は、教科書だったら教科書、参考書だったら参考書を、そのまんま丸呑みにしようとするんですよ。
あの説明自体が自分にとってものすごくややこしい、まどろっこしい形になっているものを見ても、それが不自然だとは感じられない。

みなさん「参考書なんだからわかりやすい」と思っているでしょう?
違いますよ。
大抵の場合、あれらは「分かる人、もしくは最大公約数的にわかりやすくなっている」というだけです。
少なくとも、自分向けにカスタマイズされたものじゃァありませんからね。
その説明が勉強しようとしている当人にとってわかりやすいかどうかは別なんです。
でも、わかりやすいと勧められた本だから、売れている本だから、その評価を信じてる。
だから、たとえ説明がまだゴチャついていたとしても、難しいもの・面倒なものを、そのまんまの形で何とかしようとするんですね。
なぜなら与えられた情報をまるまんま信用しているから。
そうじゃなく、「これ、ごちゃごちゃしてないか?もうちょっと簡潔にできるんじゃないか?」と思えることが第一歩だと思います。

削ぎ落とし簡略化する力

では、先ほどの文をもうちょっとわかりやすく変えてみましょう。
例えばこんな感じになるでしょうか。
【夏休み中の図書館の利用について】 (図書委員会)
 開放時間: 平日 10時~16時  日曜・祭日 12時~15時
 貸出  : 1・2年生は5冊まで  3年生は10冊まで
 返却  : 8月21日まで
 <注意>
  ・本は無断では持ち出さないでください!
     必ず図書委員または司書の先生に手続きをしてもらうこと
  ・図書館の中ではおしゃべりをせず、静かに利用してください
さっきの文章から比べるとかなり簡略化されました。
余計なものを削ぎ落とし、要点だけを並べるとこんな感じになります。
日常生活でも、これくらいのことは、たとえワープロ打ちで出さなくても、頭のなかの理解やメモ書きとしてはしますよね。

もっと進めてみましょう。
告知文としては上のまとめの全てが必要でしょうけども、でも利用者の立場になったときにはもっと削れるはずです。
"自分にとって一番重要な情報"はどれでしょうか。
おそらく、『開放時間』の項目だけじゃないでしょうか。
つまり、冊数や返却日なんてのは行けばわかることであって、開放時間が分かっていればあとはなんとかなるわけです。
だから、私がこの告知を聞いて「図書館に行かないと」って思うのであれば、メモは次の通り。
【夏休み中の図書館】 平日 10時~16時  日曜・祭日 12時~15時
これだけで済みますよね。
もしかしたら、最初から平日だけしか前提にしないかもしれない。
「自分に不要な情報を削り、必要な情報のみを取り出す」というスキルが有るのは、立派な"学習力"だと思います。

ちょっとだけ実践編

ところが、学校の授業や教科書となるとこの作業を放棄してしまう生徒が多いんですね。
つまり、
原子は物質を構成する基本粒子だが、その原子はどんなものでも主に3種類の共通する粒子から構成されている。
原子の中心には陽子と中性子という粒子がそれぞれある個数集まってできた原子核があり、原子の直径の10万分の1から1万分の1の大きさである。

その周りの空間を質量の小さい電子が回っていると考えられている。
それぞれの粒子は特有の性質を持っている。
陽子は正の電荷を持つ粒子である。
中性子は陽子とほぼ同じ質量を持つが、電荷を持たない。
電子はこれらに比べて非常に軽く、陽子とは絶対値は同じだが、逆の符号の負電荷を持っている。
とまぁここまで、手元にある化学の本から抜粋してみましたが、これをこのまんま呑み込もうとするのが勉強の下手な人。
いや、どう見てもわかりにくいでしょう、これ。
でも、生徒って、丸呑みしようとしますよね。
しません?
だって、教科書にマーカーを一生懸命に引いて覚えようとするじゃないですか。
マーカー引いただけじゃ情報量は減らない、もしくは、「太字だけ覚える」って人は極端に減らしすぎなんですけども。
それって、丸呑みとほとんど変わらないじゃないですか。

てわけで、アレコレ削って私がまとめるとこんな感じ。

だいぶ簡略化されたでしょう?
「直径がうんぬんの部分が無いじゃん」と言われそうですが、「電子の飛んでいる部分が原子核よりだいぶ大きい」ということが自分にとって重要だったので、その細々した数値に関しては削ぎ落とした、というわけです。

この"情報をそぎ落として簡略化する"という技術、教科の成績うんぬんの前に見直す価値はあると思います。

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