2013年5月23日木曜日

著名人による実名ツイートについて思うこと

こっちに書こうかTwitterで書こうか迷ったんですけど、「きっと教壇に立ってたら授業でも話すだろうなぁ」と思ったのでコチラにだらだら書いてみます。
(いちお自分の中では、「"500字程度で終わりそうな話題"はTwitterに書く」ってことにしてます)
数日前に、Twitterに60万ものフォロワーを持つある著名人が、店舗名を出して批判的なツイートを流したというのがニュースになりました。
この記事を見つけられるほどにネットを利用している方ならすでに大多数はご存知でしょうから、ニュースの詳細は省きます。
で、ニュースサイトのコメント欄やそれに続くいろいろな人のツイートでは「著名人が実名出して店の評価をするなんて、発言に対する影響力の大きさを考えたらとんでもない!」という事が主流になっているようです。
でも、店の評価を発言すること自体って、そんなにダメなことですかね?



そもそもTwitterの便利さはどこにあるか

Twitterは、情報発信をするのには、とにかくお手軽なツールです。
初期設定もブログのように細かくはしなくても済むし、アカウントさえ取ってしまったらすぐに発言をすることができます。
ご自分でアカウントを作った方はわかると思いますが、5分もあればツイート自体はできますからね。
自分がオモシロイと思ったこと、興味のあること、気づいたことなどなどを、これだけお手軽に、しかもメールと違って"顔も知らない不特定多数の人間"に向けて発信できるというツールは、おそらく今までにはなかったものです。
インターネットの便利さを最大限に引き出したものと言えるでしょう。

このツールの手軽さは、オリジナルの発信をするときに限ったものではありません。
例えば他の人のツイートで気になるものがあったらそれを簡単に引用したりもできますし、ネット上のサイトが気になったらアドレスを張り付ければ簡単にリンクが貼られます。
つまり、情報の発信と同時に、情報の拡散も非常に簡単な操作で終えられるわけです。

ではTwitterの怖さは?

「情報の拡散が簡単」ということは、Twitterやサイトによる自分の発言が、自分の知らぬ間に自分の感知できないところまで一気に伝わる可能性もあるということです。

Facebookやmixiなんかを使っている方ならわかると思いますが、何らかの記事に対して友人の誰かが「いいね!」のボタンを押すと、その記事は「○○さんが興味を持った記事」という形で紹介されます。
そしてその紹介を見た人が更に「いいね!」を押して・・・という形で、注目を集めるような記事であればいくらでも拡散が続くわけです。

同じように、Twitterにも発言に対しての引用・拡散の機能がありますから、ネタになる発言はあっという間に自分の知らぬ所まで拡がっていきます。
笑い話や自慢話のつもりで違法行為の証拠になるものを写真付きでTwitterなどで流した結果、知らないうちに拡散され、発信した人の個人情報を2ちゃんねるなんかで特定されて袋叩き(炎上)にあっているっていう話、なんぼでも転がっていますよね。
そんな状況を踏まえてTwitterを『バカ発見器』なんて揶揄したりするくらいです。

こういう感じで、「発信するには簡単だけど、場合によってはあれこれ収集がつかなくなる恐れも含んでる」ってのがTwitterやSNSの怖さでしょうか。
だから、ただでさえ知名度が高く注目されているような著名人の発言は、あっという間に拡散され、その発言によって、場合によっては店に苦情を入れるとか、場合によってはどこどこまで見に行ってみただとか、発言した本人以外の所で更にいろいろな動きが出てくるわけです。

じゃぁ発言した著名人が悪いのか?

今回ニュースになった著名人の発言は、フォロアー60万人のTwitterに同時に配信されています。
そしてその内外から、現時点で15000件以上の引用・拡散がされ、それ以外にもブログなどで話題になり、ニュースサイトで取り上げられという感じ。

発言からかなり早い段階で
 「60万人のフォロアーがいる人がそんな発言をしたら、どれだけ店に迷惑がかかると思っているのか」 とか
 「〇〇が60万の軍勢を率いて個人の店に攻め込んだ」 とかいう表現がされていました。

いや確かに60万人の目に触れる口コミですから、その影響力は小さくはありません。
でも、実際に"迷惑をかける"のは、発言者ではなく、それを面白半分に拡散したり、発言をした本人が意図していないような動きを勝手に始める方じゃないでしょうかね?
「なんて店なんだ、俺は行かないぞ」で済ませばものを、良かれと思ってか「ふざけんな」と電話してみるだとか、わざわざ実店舗まで行って冷やかして帰ってくるだとか、被害を与えるのは"発言者"ではなく、"発言を短絡的に捉えてしょうもない行動を起こす側"というのが常でしょう?
そこを「影響力を考えて発言すべきだ」「実名は出すべきではない」というのは、どうも違うような気がします。

そもそも、ネット上にある情報なんて、誰でも拾ってこれ、だれでも拡散できるわけです。
『バカッター』って嘲笑されてる人たちは、べつに60万人のフォロアーがいたわけじゃないですよ。
名前も顔も知らないそこらの誰かから発信された情報であっても、知らぬ間に拡散され、一晩で手に負えない状況になるほどの動きが起きたりもするわけです。
だから、「フォロアーが多いから」というのはある面では正しくても、それが全て、では無いですよね。

与えられた情報に対し、自分で判断をする力

聞いた話に対して、いろいろな裏付けをとったり分析を加えたりして「コレは正しい」だとか「これは違うだろう」だとかを判断する能力を、「読み書き能力」になぞらえて『情報リテラシー』と言ったりします。
今回のようなケースを見ていると、サイトや検索などを駆使して「情報を集めるスキル」と、Twitterやブログを通じて「情報を発信するスキル」についてはものすごい勢いで身につくのに、「情報への分析や判断をするスキル」はどうも置き去りになっている気がします。

 「テレビでこう言ってたからこれが正しい」 とか
 「あの人がTwitterでこう言ってたからこれはイイコト」 だとか
 「これだけ『いいね!』されてるからこの商品は間違いない!」 だとか
 「これを買ったら秒速で1億円稼げるんだって!」 だとか。
どうも集めてきたアレコレを鵜呑みにしているんじゃないかと。
集めてきた情報自体が、自分の好みに合う、偏った情報でしかないかもしれないのに。

"60万の軍勢"なんて表現が出てくるという自体、「そこから拡散された情報を見た人の多数が、その店に対して何らかのアクションを起こす」ということを前提にしているわけです。
この前提自体が、今の社会での情報の扱われ方の不健全さ、未熟さを示している気がします。
ちゃんとした判断力があれば、「ふーんそんなことがあったんだァ」で終わる話なんじゃないのかなぁ?って。

その辺りの判断力を高める指導って、本当に大切だと思うんですよね。
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