2012年2月28日火曜日

「”平均 ”を理解しない大学生」?

数日前、社団法人・日本数学会が実施した『大学生数学基本調査』という調査の結果が報道されました。 
実際の報道はこちら
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/120224/edc12022423040001-n1.htm
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120224-00000127-jij-soci

『大学生の数学力:24%が「平均」理解せず』 とまぁ、センセーショナルな表題で報道されたわけですが、、、 

さて、出題されたという問題をざっと眺めてみたんですが、いや、この問題、結構難しい(大学入試的な難しさとは違う意味で)と思うんですよ、実際。
 問題→http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/surveyslip0955.pdf
 解答→http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/answer.pdf

出題を見てみると、記事で槍玉に挙げられている【1-1】は”平均値”の統計分布的な意味を聞いています。
少しだけ”平均”について解説しますと、感覚的には「平均=真ん中」というイメージですが、これはデータがキレイに分布した場合の話。
例えば、年収500万の家庭が100軒ある中に、1軒だけ年収5億の人が入ったら、、、平均値は1000万ですからね。。。

こうやって飛び出たデータが含まれた場合は「真ん中」からは大きく外れてしまうという性質があって、今回の問題はその辺りの感覚を聞いた内容になっています。

「平均」については小学校5年生の算数で習うのですが、『単位量あたりの数』という小学生が最も嫌うであろう分野(人口密度や速度などもこの領域です)の延長として扱います。
学校や塾で生徒と対しているとよくわかりますが、計算問題の1つとして「平均=合計÷人数」という計算式だけは身につくんですが、その意味まではなかなか定着しません。
大人からすると「なにを?」と思われるかも知れませんが、数値に対する意味付けというのはなかなか難しくて、例えば、、、小学生に「”速度”ってなに?」と問われて「一定の時間でどれだけの距離を移動できるかを表したもの」なんて即座に答えられますか?
少なくとも「10分で7km進むなら、1時間ではその6倍進めるから、時速42kmだね」なんて答えられる生徒は(中学3年生でも)ほとんど見たことがありませんし、そうやって教えてる大人も見かけません。
型どおりに「速度は距離を時間で割ったもの」というところがせいぜいで、塾でも学校でも「は・じ・き」とかって書いてますもんね。
それと同じような感じで、”平均”も「すべてのデータが同じ値だったとしたら」 という仮想的な数値を考えているわけですが、そんな意味付けを意識しながら問題を解いている生徒はほとんど居ないでしょう。
なにかにつけてこんな感じで、「計算できる・問題が解ける」というのと「計算・数値の意味がわかっている」ということの間には、大きな開きがあるのです。

では、小学校の指導と訓練で「平均値が計算できる・問題が解ける」まで行けたとして、その統計的な意味付けはどこで習うかというと、実は習う機会は中学高校でもほとんど用意されてなかったんですよね。
ここ数年は新課程への移行期間ということで中学で統計処理の分野が復活しましたが、そこまでの10年間は、本当に統計分野の指導というのが中高で皆無、そもそも教科書になかったんですよ。(実際には高校の数学B・Cの教科書にちょっとだけ載っていましたが、そこは大半の学校で指導しないところでした )
つまり、この試験を受けた大学生の大半は”平均”の計算式は知っていて計算はできても、その意味付けなんて習ったこと自体・おそらく考えた事自体も小学5年生以来はないんですね。
そして統計資料を数学的に読み解くということもほとんどしたことがないし、要求もされて来なかった。

そういった事実を横に置いておいて「今の大学生は」という言い方をするのはちょっと筋違いでしょうね。

また、問題【1-2】の”論理”の話題も同様でして、「命題の逆・対偶」に関連しているこの内容も、「教科書読めばわかるでしょ」という感じで中学校ではせいぜい1時間、高校でも1時間程度しか扱わないというのが実情。

公務員試験などではよく見る問題ですが、学校の授業でちゃんと習ったという話はほとんど聞いたことがありません。
「『人は動物である』が正しくても『動物は人である』は正しくないよね?」という、アタリマエ過ぎる例を挙げて終わらせてしまうことが大半なのです。
考えてみて下さい、小1から高3までの算数・数学教育の中で、たったの2時間くらいしか扱われない内容。
学生によってはこの出題がどの分野に関わるものなのかすらも思いつかないでしょう。


そういった諸々の事情を考えると、報道を見た印象としては「今の大学生はヒドイわねぇ」という感想が大半だとは思うのですが、それを彼らの責任にするのはちょっと違うだろうと。
その前に、彼らに対してどういった学力観でどういった事を学校で教育してきたか、それを振り返る方が大切ではないかと思うのです。

我々は生徒や部下・子供たちに対して「そんなことも知らないの?」と簡単に言ってしまいますが、そもそも学ぶ機会自体を与えて来なかったということもあるんじゃないかと思うんですよね。

さて、、、今回の教育課程の改変で教科書的には統計分野はかなりの拡充がされたわけですが、これから10年後、この問題の正答率は上がるんでしょうか?
型どおりに問題の解き方だけを教えていたのではこの手の問題の正答率は上がらないと思っているのですが、、、 どうなるでしょう?

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