シグマゼミでは、毎月、月末に通信を発行しているのですが、先月今月と2ヶ月連続で触れたのが、中学校での"内申点"について。
私がこの制度自体にどうかなと思っていることは、まぁこのブログやらTwitterやらを覗いてくれた方なら承知のこととは思いますが、北海道の入試の半分以上を占めているとも言えるものですから、塾屋としては好き嫌いに関わらず取り上げざるをえません。
ここ2回で書いた通り、「塾に行くのは3年生になってからで十分」という人も少なくないわけですが、それでも、入試制度をきちんと知っているのと、知らずに2年間を過ごして後々になってから「え゛っ、そうだったの!?」というのではかなり違うと思いますので、今回は簡単に入試制度のおさらいをしようかと思います。
といっても、通信の焼き直しですが。
高校入試において、合否判定の中心になるのは「中学3年間の評定から計算した"内申点"」と「入試の点数から計算した"学力点"」です。
"内申点"は、各学年の学年末5段階評定から計算され、計算式は[ (1年末評定の合計×2)+(2年末×2)+(3年末×3) ]となっています。
これを20点ごとの段階ごとに切ったものが"内申ランク"と呼ばれるものです。
道内の公立高校では、基本的に『内申点5割・学力点5割』で合否の判定が行われますが、私立高校では内申点の比重が高い場合も多く、単願・専願などでは内申ランクだけでほぼ合否が決まり、高い内申ランクで受験した場合は特待生制度がある学校も少なくありません。
私立受験への影響も考えれば、内申の重要性は非常に高いといえるでしょう。
実際のところ、そこらの学校を受験するのであれば、「実力がうんぬん得点力がどうの」以前に、内申の高さで逃げ切れることも決して少なくないのです。
敢えてきつい書き方をすれば、「公立入試の1/4以上が既に中3春の段階で終わってしまっている」ということですね。
みなさん、「受験は中3の2月から」って思ってるでしょう?
違います。
中3の1月に願書を出した時点で、既に半分が終わっているんです。
しかも、それは学校どころか、教科担当者のさじ加減ひとつで決定される、えらく不透明な"評定"っていうものによって決められているんですね。
さて、現2年生のみなさん、「1学年が終了した今の時点で、既に入試の600点満点のうちの90点分は決定しました」と言われて、その実感はあるでしょうか?
「この1年が終わると600点中180点はもうひっくり返せないんだよ」という事実を理解して学校の授業へ望んでいるでしょうか?
5段階評定は、中学校で学ぶ9教科それぞれについて、定期試験の結果と普段の授業への参加態度(確認テスト・課題の提出状況・発表の様子など)から各教科担当により決められます。
現在の中学校では「どれだけ着実に学習を積み重ねてきたか」ということを絶対評価で評価していますから、極端な話、生徒全員が十分な努力をしていれば全員が「評定5」を取ることもありえます。
実際、Twitterの方には書きましたが、現中3生の道コン受験者の分布を見ると、道内の半数はDランクより上の内申点を持っていることがわかります。
下のグラフを見ていただくとわかるかと思いますが、道コンではSS50くらいの層の生徒でも、なんとDランク。
どう考えても評定が異常な甘さで付いているとしか思えませんが、でも事実、統計のデータはこうなっているんですよね。
周りのランクがインフレを起こしている以上、それに合わせた成績を自分も取らなければ置いて行かれるというだけのことです。
中学校では内申を元にして受験先を指導する場合が大半で、中3秋の内申の状況からランクに応じた受験先を選ぶというのが3年次の進路指導の流れです。
「内申点が低いから○○高校の受験は無理」ということはないのですが、もし、受験生の大半がCランクである学校をEランクの生徒が受験するとなると、入試前の時点で600点中40点の差がついてしまっている状態で受験を迎えることになります。
入試は1科目60点満点ですから、そこで40点を余分に取るというのは、なかなかできることではありません。
だから、受験先の選択肢を狭めないためには、内申点つまり3年間の評定はなんとしても維持する必要があるわけです。
評定を決める大きな要素は定期試験と、そして提出物などの授業への参加姿勢です。
一つ一つの授業を丁寧に受け、身に付けるべきことを着実に身につけていくことが、高校受験ではなによりも大切だということになりますが、さてどの程度意識してできているでしょう?
定期試験は学年で何回ありましたか?3回?4回?
その限られた数回の試験の結果が、だるいなぁと思いながら適当にごまかしていた提出課題が、実は入試の合否の5割分に反映されると考えたことはありましたか?
というわけで、
現1年生の方は、まだ勉強が難しくなることもないでしょうから、夏休み明けくらいまでは学校に慣れることを優先するのがいいかと思います。
塾に時間を費やすよりも家庭学習をしっかりできるようにすることの方がおそらく重要でしょう。
でも、2年生は、最初からヘビーな内容が登場しますから、現時点で苦手があるのであれば、早いうちに手を打たなければあっという間に置いていかれます。
「どうせ中1とさほど変わんないでしょ」と思っていると、数学・理科ではかなり苦しむことになります。
数学が苦手になるのは大体が中2の夏辺りから(文字式による証明・連立方程式の文章題・1次関数・図形の論証)ですからね。
3年生は、、、先述の通り、既に600点中の180点分が確定しちゃってますからね。。。
内申を大幅に上げることはどうしたって不可能ですから、今からできることは、内申を維持すること、そして、周りを上回るだけの揺るぎない実力を身につけることではないでしょうか。
これらのことを正確に理解した上で、もししなければならないことが残っているのであれば、できるだけ早くから始めた方がいいのでは、と思います。
道の入試制度について、もっと詳しく知りたい方は下のリンクからどうぞ。
→参考:http://www.do-con.com/nyushi/ 道コン事務局
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