2013年5月7日火曜日

データから考える、高校受験のその先 1

数回に渡って、「中学生が学習塾に行き始めるのは、どのタイミングが適切だろうか」というテーマで書いていますが、「そんなん、たった一人の感覚でしょう?」と言われそうなフシもあるので、今回はもうちょっと踏み込んでみたいなと。

『進研ゼミ』や、大半の高校で受験している『進研模試』で有名なベネッセが、高校生や大学生、そしてその保護者からの回答を元に、教育に関わるいろいろな調査報告書を出しています。
その中の一つに『高校受験調査』というのがあったので、ちょっと覗いてみましょう。
 →表紙はコチラ http://benesse.jp/berd/center/open/report/kou_jyuken/2011/index.html


まずは今回の話の前提となる『今通っている高校は、高校受験の第1志望かどうか』というところから。
入学意欲の強さ、第1志望か否か
 http://benesse.jp/berd/center/open/report/kou_jyuken/2011/hon_14.html
図3-3によると、この調査の回答者の83%が「第1志望校」だと答えていますので、これから見ていく調査は「第1志望校に合格することのできた生徒を中心に、受験を振り返って回答してもらっている」と見ることにして良さそうです。

さて、同ページの図3-2を見ると、
自分の今通っているところは第1志望校だ」と言いつつも、「ぜひこの学校に入学したかった」という回答は半数の52%程度しかありません。
固い志望動機があったわけでもなく、でもその学校を第1希望に選んだのだとしたら、選ぶ要因は何だったのでしょう?

というわけで、『志望校選びで重視したこと』ですが、、、

 http://benesse.jp/berd/center/open/report/kou_jyuken/2011/hon_04.html
出ました!「自分の学力に合っているから」!!
これなんですよ、私が最も問題にしているのは。

この"自分の学力"というのを、生徒自身がどのレベルで評価しているかが大問題なんです。
つまり、普段から高いレベルで学習を積み重ねてきた生徒が「この調子ならもうちょっと上も狙えそうだ!」という意味で「自分の(将来の)学力に合っているから選んだ」のか、それとも「どうせ今さら何をしたってそんなに変わらないし、これくらいの学校ならきっと入れるでしょ」という意味で「自分の(現状の)学力に合っているから選んだ」のか。
どちらを想像します?
前の「ぜひこの学校に~」という回答が52%しかしなかったことと併せて考えても、おそらく圧倒的に後者が多そうですよね。
ところがこんな感じで「現状の成績で入れるところ」を選んでも、受験者の8割は"第1志望"に入ってしまうわけです。
もちろん、「自分の学力に~」という生徒さんが、進路の選択後も全く努力をしていないと断じるつもりはありません。
でも、「自分の能力を伸ばして、さらに高いレベルの自分を目指そう」という前向きな姿勢は、、、あまり感じられないですよね?


では、"その後"はどうなのでしょう?
他に入学したい学校があった」 と「特に入学したい学校がなかった」という、"高校進学に後ろ向きだった生徒層"を中心に見ていくと、

 http://benesse.jp/berd/center/open/report/kou_jyuken/2011/hon_15.html
もっと勉強しておけばよかった」 という回答が反省点にものすごく多いですよね。

そして、

 http://benesse.jp/berd/center/open/report/kou_jyuken/2011/hon_17.html
高校生活の充実度は低い」「行事にも消極的」「目標が見つからない」「将来も考えられない」「社会に出るのも楽しみではない」と、マイナスの回答が「ぜひこの学校に~層」と比べて格段に多い。
<高校1年生の秋>の調査でこれだけ露骨に差が出るわけです。
入学したての5月に調査したというのであれば、「本当はもっと違う学校に行きたかったのに」という"不本意な入学"をまだ引きずっているというのはわかります。
私が私立高の学級担任をしていた時も、そういう生徒に配慮して「入学おめでとう」はなるべく言わないようにしていましたしね。
でも、秋であれば、学校祭や体育祭などの学校行事にもそれなりに参加した後、クラスのメンバーにも溶け込んでいて次の目標を立てていてもいい頃のはずです。
それでもまだこれだけマイナスの感情を 引きずっているというのは、ちょっと重たいですよね。


どうでしょう、、、
自分の進路を真剣に考えて前向きに努力してきた生徒さんと、「この辺でいいや」とその場限りで高校受験を乗り切った生徒さんの姿勢の差を、これらのデータはそれなりに反映しているように思うのですが。



あ、、、「高校1年秋なら、進路意識もまだつかなくて当然では?」というツッコミが入りそうですね、、、
次回は『大学生の学習・生活実態調査』の報告から、「高校生がどう進路を選び、大学生がどう振り返っているか」についてデータを拾ってみます。



~~~~~~


「うちの学校は進路指導が熱心で~」という話はうちの塾生から全く聞いたことがないのですが、生徒当人にもこういうデータを見せて話をした方がいいと思っています。
いちお、学校勤めしていたときは進路担当でしたしね。。。

学習相談、進路相談、無料で承ってます。

792-0490もしくはsigmaseminar@gmail.com までぜひご相談くだい。

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