年度から、中学校および高校1年生の教科書が全面的に改定になりました。
数学や理科での履修内容の大幅な入れ替えや、高校理科の3科目必修化、中学社会での地理分野の大幅な増強など、大きな変更点は話題に上ることも多く、教育系のニュースに敏感な方であればご存じの方もいらっしゃるかと思います。
で、分野丸ごとの配置替えであればニュースにもなり「この学年でこれを教えるのね」と教える方もわかりやすいんですが、用語や扱い方の微妙な変更となると教科書をしっかり読み込まなければなかなか気付かなかったりします。
例えば、体積や容積を表す「リットル」という単位。
今までは筆記体っぽい「ℓ」 を用いてましたが、これが廃止され大文字の「L」で表すことに統一されました。
牛乳パックなら「1000mL」と書くわけですね。
また、速さの単位として「時速:1時間あたりの走行距離」というのがありますが、これもまた今までは「時速60km」を「60km/時」と書いていたりしたんですが、「60km/h」と表記するよう扱いが統一されました。
同様に「秒速3m」も「3m/秒」 と書いていたんですが、「3m/s」と書けと。
※ちなみに「分速150m」は「150m/min」なんですが、「紛らわしいから」という理由で中学では扱わないんだとか。
これ、全て「国際単位系(SI)に揃える」という方針からできたもので、力の単位[g重]を廃止して[N(ニュートン)]に統一したり、気圧の単位[mmHg]を廃止して[hPa(ヘクト パスカル)]に統一したりするという動きと同じ流れです。
ただ、個人的に正直な感想を言えば、「何でもかんでも国際標準に合わせりゃいいってもんじゃぁないだろう」と。
力の単位[N]なんかは顕著だと思うんですが、中学生のような物理初学者にとって、力を[N]を用いて表すことにどれだけの教育効果があるんでしょうね?
だって、[N]の定義って、「質量1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力の大きさ」ですよ?
「1m/s2の加速度」ってのを理解していない段階で[N]を単位として与えることより、「質量1kgの物体にかかる重力と同じ大きさの力」としての[kg重]の方が正確なイメージがわきませんかね?
国際標準への対応は基本的な知識とイメージがちゃんと付いてからでいいでしょうに。
同様に、「"時間"を英語でhourで表す」という英語の知識があやふやな中学生に[60km/h]と書いたところで、「時速→km/h 秒速→m/s」みたいに念仏のように覚えるのがオチじゃないのかなと。で、「m/hって時速?秒速?」みたいな余計な質問が出るんですよ、きっと。
<科学的な思考力を身につけさせて、国際競争で負けないだけの人材を作りたい>という大目標は分かるんですが、だからって、初学者に対して、あえてわかりにくい表現で単位を教えることに意味があるとはどうにも思えないんですよね。
まずは概略でいいからしっかりと理解すること、それができた上で細かな話を肉付けしていけばいいと思うんですけど、、、
まさか中学段階で「原子はさらに原子核と電子に分かれ、原子核は陽子と中性子とからなり、これまた素粒子が・・・」なんてやるわけでもなかろうに、なんで単位系だけこんなこだわってるんでしょうね?
「見た目と形だけにこだわってても、中身が伴ってなかったら意味ないのにねぇ~」って思うのは、お役所仕事全般に対する印象と一致していたりします。
※その他、教科書編集の際のいろいろな編集意図についてはこちらのページが面白いです。
→啓林館 http://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/j-scie/q_a/index.html
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5 時間前
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