2012年5月24日木曜日

教科書改訂によるちっちゃな影響

年度から、中学校および高校1年生の教科書が全面的に改定になりました
数学や理科での履修内容の大幅な入れ替えや、高校理科の3科目必修化、中学社会での地理分野の大幅な増強など、大きな変更点は話題に上ることも多く、教育系のニュースに敏感な方であればご存じの方もいらっしゃるかと思います。
で、分野丸ごとの配置替えであればニュースにもなり「この学年でこれを教えるのね」と教える方もわかりやすいんですが、用語や扱い方の微妙な変更となると教科書をしっかり読み込まなければなかなか気付かなかったりします。

例えば、体積や容積を表す「リットル」という単位。
今までは筆記体っぽい「」 を用いてましたが、これが廃止され大文字の「L」で表すことに統一されました。
牛乳パックなら「1000mL」と書くわけですね。

また、速さの単位として「時速:1時間あたりの走行距離」というのがありますが、これもまた今までは「時速60km」を「60km/時」と書いていたりしたんですが、「60km/h」と表記するよう扱いが統一されました。
同様に「秒速3m」も「3m/秒」 と書いていたんですが、「3m/s」と書けと。
※ちなみに「分速150m」は「150m/min」なんですが、「紛らわしいから」という理由で中学では扱わないんだとか。

これ、全て「国際単位系(SI)に揃える」という方針からできたもので、力の単位[g重]を廃止して[N(ニュートン)]に統一したり、気圧の単位[mmHg]を廃止して[hPa(ヘクト パスカル)]に統一したりするという動きと同じ流れです。

ただ、個人的に正直な感想を言えば、「何でもかんでも国際標準に合わせりゃいいってもんじゃぁないだろう」と。
力の単位[N]なんかは顕著だと思うんですが、中学生のような物理初学者にとって、力を[N]を用いて表すことにどれだけの教育効果があるんでしょうね?
だって、[N]の定義って、「質量1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力の大きさ」ですよ?
「1m/s2の加速度」ってのを理解していない段階で[N]を単位として与えることより、「質量1kgの物体にかかる重力と同じ大きさの力」としての[kg重]の方が正確なイメージがわきませんかね?
国際標準への対応は基本的な知識とイメージがちゃんと付いてからでいいでしょうに。
同様に、「"時間"を英語でhourで表す」という英語の知識があやふやな中学生に[60km/h]と書いたところで、「時速→km/h 秒速→m/s」みたいに念仏のように覚えるのがオチじゃないのかなと。で、「m/hって時速?秒速?」みたいな余計な質問が出るんですよ、きっと。


<科学的な思考力を身につけさせて、国際競争で負けないだけの人材を作りたい>という大目標は分かるんですが、だからって、初学者に対して、あえてわかりにくい表現で単位を教えることに意味があるとはどうにも思えないんですよね。
まずは概略でいいからしっかりと理解すること、それができた上で細かな話を肉付けしていけばいいと思うんですけど、、、

まさか中学段階で「原子はさらに原子核と電子に分かれ、原子核は陽子と中性子とからなり、これまた素粒子が・・・」なんてやるわけでもなかろうに、なんで単位系だけこんなこだわってるんでしょうね?
「見た目と形だけにこだわってても、中身が伴ってなかったら意味ないのにねぇ~」って思うのは、お役所仕事全般に対する印象と一致していたりします。


※その他、教科書編集の際のいろいろな編集意図についてはこちらのページが面白いです。
→啓林館 http://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/j-scie/q_a/index.html

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お陰様で生徒数もだいぶ増え、絶えず指導に追われるようになって来ました。
指導の質を維持することを考えると、中高生各10名ほどが1人で見る限界かと思います。
あと5名ほど(?)で塾生の募集を一旦停止しようと考えておりますので、ご入会を検討いただいている方はお早めに792-0490もしくは sigmaseminar@gmail.com までご相談下さい。

学び取るプロに

ここのところ、高校生の指導をしている最中、語気が荒くなることが増えてきました。
理由は単純。何度同じ事を指示しても一向に身についていないからです。

で、何を指示しているかといえば、
・学んだことは"ちゃんと"記録に残せ
・やったことは必ず見返して、1か月後に見て思い出せるように整理しとけ
・わからないものがあったら、まずは自分でまとめたのを見返せ

とまぁ、文字で書くとたったこれだけ。
でもこれだけのことができていないから、いつまでたっても同じ所を忘れ、また改めて説明することになり、先に進めないんですよね。。。

先日も、とある生徒に、つい2週間前に1から教えたはずのことを「全く覚えがない」とまで言われ、再び1から説明しなおしましたが、、、
半年も付き合いがあると「毎度毎度同じ事を言われているのにまだ懲りてないの?なんで書き残してないの?」という小言もセットにせざるを得ません。
ちなみに書いて説明しだしたら「あぁ、聞いた覚えある。。。」と言ってましたが、そりゃぁそうです。
聞かれる度にほぼ同内容のことを同じようにして言っているわけですし、さきに説明したその時には「あぁなるほど!」って言って自分で類題まで解いているわけですから。
それでもたった1・2週間しただけで自分で解いたことすら覚えていないとしたら、それは最初の受け取り方か記憶の残し方に失敗があったということです。

大体の場合、問題が解けない場合の生徒の行動はといえば、
  1. 問題を見ても解法が思いつかないから教科書や参考書を開いてみる。
  2. それだけでわかるわけもなく(参考書を見てわかる程度ならそろそも質問もしない)、私に「それ、前に教えただろ。ノート開いてみ。書いてっから。」と言われ、ようやくノートを開いてみる。
  3. ノート開いてみてもその問題がどこにあるのかすらわからず、「やってません、ありません」とか言っている。
  4. 私がパラパラめくると同種の問題がちゃんと解かれていて、場合によってはマーカーで囲いまでしている。それなのに「あれ?こんなのやったっけ?」とかいう状態。
大半の場合は学校で一度は解説されているはずなんですが、それでも分からないから私に聞いたわけで、私が教えたことは少なくとも教科書・参考書に書いてある内容、そして学校の説明よりもわかりやすく詳しく(もしくは別角度からの説明に)なっているはずなんですよね。
だから、その時点で「あぁわかった!」のプロセスを多少なりとも書き残すなりしていれば、次の時には見ただけで思い出すことも増えるでしょうに、ノートにはそれらを書き残さないで解答だけを残していることが大半。
だからノートが参考書の劣化版にしかなっておらず全く役に立っていない。
10分かけて説明しても、私から見たら半分程度しか残っていなかったり、重要な部分が削ぎ落とされていたり。
こんな勉強の仕方ではザルに水を流しているようなもの。
どれだけ時間をかけたところで先になんて進めません。


私は高校や中学や塾で教える仕事をしてきて、最初の3年くらいは「とにかくわかりやすく教えること」に注力していました。
実際、今でもそうですが、どの科目のほとんどの問題についても「あぁなるほど」と言わせられるだけの十分な解説や例示をその場で加えられていると思います。
ただ、いろいろな生徒に教えていてまもなくして思ったのは、与える側がどれだけ真剣に説明を練りこんでいたとしても、受け取る側がサラッと聞き流す程度で居たら「わかった」は一過性のものにしかならないということ。
説明がわかりやすいっていうのは教える側にある程度の経験があればアタリマエのことであって、大切なのは、受け取る側をどれだけ本気にさせるかなのかなと。
その意味で<生徒自身の学び取る技術>を育てること無しでは、生徒が成長することは望めません。

もし「わからなかったらまた聞けばいい」くらいの感覚で勉強しているのであれば、その生徒はどれだけ良質な説明を3度聞いても5度聞いても身に付けることはないでしょう。
そうではなく、「この1回できっちり理解してけりをつける」くらいのつもりで授業に望んでくれるよう、学び取り方に対してもチェックを入れ、「その勉強の仕方じゃぁいつまでたっても先に進めんよ」としっかり言ってあげる事も必要だと思っています。

当然ですが、中学生に指導するときよりも高校生相手の方が要求レベルは上がります。
でも、「最も基本的なことできていない」ということに気付きさえしないまま先へ進んでも、 結果なんて目に見えているわけで、、、どっかでガツンと痛い目にあってでも「このままではダメなんだ」と悟り、学び取るプロになってもらわないとダメだと思っています。
私は教える側のプロですが、生徒にも、親からお金を払ってもらって学びに来ている以上は学び取る側のプロ意識を持ってもらいたいなと。


と、いうわけで、

・学んだことは"ちゃんと"記録に残せ
・やったことは必ず見返して、1か月後に見て思い出せるように整理しとけ
・わからないものがあったら、まずは自分でまとめたのを見返せ 

学校でも、くだらない黒板丸写しのノート点検とかしてないで、ノートの使い方と意義をしっかりと指導してくれないかな。。。

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お陰様で生徒数もだいぶ増え、絶えず指導に追われるようになって来ました。
指導の質を維持することを考えると、中高生各10名ほどが1人で見る限界かと思います。
人数が集まり次第、塾生の募集を一旦停止しようと考えておりますので、ご入会を検討いただいている方はお早めに792-0490もしくは sigmaseminar@gmail.com までご相談下さい。

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